010419 無知。
好きな芸能人は誰ですか? と訊かれることがよくある(ウソ。ない)。そんなとき、僕はこう答える(ウソ。答えたことない)。
上岡龍太郎かな?
「探偵!ナイトスクープ」の元局長で、「パペポTV」で笑福亭鶴瓶と最強タッグを組んでいた氏である。残念ながら現在は芸能活動を休止している。膨大な知識量とそれを披露する立て板に水のごとき弁舌。口ベタな僕は憧れもした。そして何より、その知識を最終的には笑いに転化させるところがすごい。知識の披瀝だけだったら高圧的で嫌味に終わるところを、笑いに転化して大衆に引きずりおろす。あまたいる芸人の中でこのスタイルで笑いをとることができる人はそういない。そのスタイルがかっこよかった。
その上岡龍太郎は「パペポTV」において鶴瓶に、「ほんまアンタ、モノよう知ってまんなあ」と言われて、こう返した。
「いやいや、僕はねえ、博識や博識やとよう言われますけどね、ちがうんですよ。自分の知っとることしか話しとらんです。自分のようわからんことに関してはなんもコメントしません。それで『知っとる』と思われるんは、当たり前です。知っとることしか表に出しとらんのですから」
そうなのだ。結局のところ人は、自分の知れる世界でしか勝負できない。上岡龍太郎は自分の知ってることだけを話して知らないことは隠蔽するという手法でもって芸能界における地位を確立した。これは技術であり、能力である。立花隆だとか荒俣宏だとか京極夏彦だとか、「知の巨人」と呼ばれる人だって、知ってることよりは知らないことのほうが多いのである。それほどに世界は大きい。
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