「本当に好きな色があれば、いいんだけれどね。なかなか、そうもいかないから調合する。―― 黒にしたって、それぞれのインクに個性があるのよ。それを合わせて、自分なりの黒を作る」
北村 薫 『ターン』
ただしパレットと異なるのは、「色を混ぜ合わせる作業」ができないという点です。しかしこれは、絵の具では到底不可能な選択肢の幅広さで補われます。例えば僕が自分のHPで多用している色、"navy"は、カラーコード"#000080"ですが、これは赤を0、緑を0、青を(16進数で)80の割合で混ぜ合わせた色、ということです。赤、緑、青、それぞれに階調が00からffまで(10進数に変換すれば0から255まで)設定されていますから、"256*256*256=16,777,216"、約1700万色の絵の具を―― あらかじめ渡されていることになります。 1700万の中から、色を選べる。自由に。こんな贅沢な環境。小学生のころの僕が見たら―― 羨ましがるでしょうね。そして、こう言うことでしょう。 「僕だったらもっと楽しい遊び方を思いつくのに」 "色"という視点でもって、各人のHP巡りをしてみるというのも、面白いのです。
「絵の具の名前を覚えるだけでも一苦労しそうだな。なんだってこんなにたくさんあるんだ」
「世界が色で構成されているからに、決まっているじゃない? 絵を描いてるときよく思うんだけど、この世にあるものは何でも、色で表現できるのよ。どんなものでも、その本質を表すイメージカラーがあるっていうか」
「それは人間もかい?」
「もちろんよ」
加納 朋子 『掌の中の小鳥』
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