と、そこに素敵な情報が飛び込んできました。
今度、トップランナーに京極夏彦さんが出るそうです。 らなさん、いかが? もろやんさん、いかが?
BBSにおけるたけたけっさんの書き込みです。NHKのトップランナーに京極氏が出演されるとのこと。早速NHKのサイトへ飛び、情報を得ました。確認するとどうやら今月末に収録、そして2月中旬に放映、とのこと。観覧希望者を募っていたので一も二もなく入力フォームに飛び、応募しました。こういうとき僕の行動は普段の3倍速になります。当選すれば生京極が拝めるのです。なんだか興奮してきました。興奮ついでに「生」をカタカナにしてみましょう。ナマ京極。おお、なんかこっちの方がソソリます。やっぱり、なにごともナマがいいのです。なにごとも。
そして応募から一週間ほど経った24日夜のこと、携帯電話が鳴りました。着信メロディはaikoの「あした」です。余計な情報です。
「もしもし」
「あ、もしもし、わたくし、NHKトップランナー制作部の○○と申します。えー、らな様でしょうか?」
「あー、はい、ぼく、らなですけど(この時点で胸躍ってます)」
「あのですねー、先日らな様が申し込みなさいましたトップランナーの京極夏彦さん出演の回の収録に、らな様をご招待させていただきたいと思いましてお電話さし……」
「(声をさえぎって)あーっ、はいはいはい、応募しました応募しました。了承です了承です。行かせていただきます行かせていただきます。うれしいですうれしいです」
「(コイツ、興奮しすぎだ、と思いながら)あ、そうですか。ではですね、ちょっと急な話なんですけど、27日、17時にですね、渋谷のNHK放送センターの方へ集合していただけますでしょうか?」
「ええ、ええ、ぜひとも、ぜひとも。27日ですね? がってん承知ノ介です。ええっと、ちょっと待ってください? メモしますから。27日、日曜日ですね? と、にじゅうしちにじゅうし……」
ん?
27日?
瞬間、僕の頭の中でカレンダーが高速回転でめくられ、スケジュール帳が巨大スクリーンに投影されて展開されました。
1月27日:「はらだしき村」制作会議
うああああ……(声にならない叫び)。
ダメじゃん。
行けねえじゃん。
27日は僕が現在もっとも真摯に取り組んでいる活動であるところの「はらだしき村」制作会議でありました。ダブルブッキングになっちまいました。なんてこったい。この制作会議は欠席するわけにはいきません。と、なると当然の帰結として収録を観覧することは不可能なのですが、あきらめの悪い僕は脳細胞をフル動員させ、なんとか両方に出席できないものかとの計算をし始めました。
ええとええと、会議は13時からで予定では15時には終わることになってるけど会議はいつも白熱して延長するから17時までと思っといたほうがいいよな? となると渋谷17時はどうしたってムリなわけだが、会議を途中退場するとすればどうだろう? 会議の場から渋谷までは早く見積もって1時間半強。となると15時過ぎに退出すればどうにか間に合うのか? でもなあ、今回の会議は新しい企画について詰めていくという重要なものでちゃんとフルで参加しときたいし、なによりあのエキサイティングな場を途中退出するなんてそんなもったいないことできっこないし。あああああ、やっぱムリじゃん。どう考えたってムリだよ、これ。トップランナー、あきらめるしかえねえよ。でも京極。愛しの夏彦。ナマ京極。ああ、ああ……。
こんな思考を巡らせていました。この間コンマ5秒です。なにせ電話中ですから。こんなに頭使ったのってセンター試験以来ではないでしょうか。一拍置いたのち、僕は声を絞り出しました。
「え、ええっと、すみません、27日、ちょ、ちょっと、都合悪いんです。辞退させていただきます」
「あー、そうですか。わかりましたー。またよろしくお願いしますー。ガチャッツー・ツー・ツー(あっさり)」
002/003
|