041125 慣れるということ [随想]

 たとえば2年半前、入社まもないころには徹夜でやっと1本仕上げていた原稿があったとして、いまだったら同じ分量の仕事を2時間で5本こなせているわけです。

 これは文章が上達したという類の話ではなくて、要領を得た、コツをつかんだ、仕事に慣れた、ひとつの結果であるといえます。

 単位時間あたりの仕事量の面からいえば会社にとってプラスの話ですから、素直に喜んどくべきところではあるのですが、当人にしてみればちと複雑な心境で、 「これでいいんかなあ」 という思いが次第に大きくなってきています。

 一度得た要領を、次の仕事にも活かしたい。
 つかんだコツを、目先の原稿に適用したい。

 迫る時間のなかにあって、こうした思いに抗うことができずに、ついつい 「こなして」 しまった仕事の多いこと多いこと。元来僕は文章書くの、遅いはずなのに。

 社長から突き返される赤字修正は、入社当時と比べれば劇的に減りました。一発で通った原稿が、そのまま印刷物になります。そこに、昔のような一々の喜びはなくなりました。

 このまま流されてくと、文章が粗くなって仕事が荒くなって取り返しがつかないことになっちまいそうだという予感があるので、できるだけ悩むようにしよう立ち止まるようにしよう慣れないようにしようとは心がけているのですが、いかんせん押し寄せる仕事の波には勝てません。惰性に妥協して堕落するもよしとしてしまう自分がいます。うん、単にゴロがいいから、 「ダ」 を並べてみました。

 環境を変えれば解消する部分もあるとは思いますが、それだけですむ話だとも思えないのです。こんな思いを秘しながら、日々出勤しているのです。これが、3年目の壁というか分岐点というか浮気というヤツなのです。こいつは厄介。

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