050317 カーペットを買った [日常]

 引っ越しと同時に、カーペットを買った。

 配送日を指定し、1万といくらかのお金を支払いながら、思った。

 「これって、 『大人な行為』 だよなあ」 と。

 「大人な行為」 とはどういうことか。逆から言えば、 「子供はしない行為」 ということになる。子供は、カーペットを買わない。4畳半のカーペットを柱や壁の凹凸に合わせてカットしてもらったりはしないし、素材や色を選択したりも、防音とか防ダニとか抗菌とかいったオプション機能を検討したりもしない。

 「大人になったなあ」 という感慨は、誰しもが、ふとしたときに得るものだと思う。それは出張帰りの新幹線でビールを飲みながら 『文藝春秋』 を読んでいるときかもしれないし、牛乳パックをリサイクル用にハサミで切っているときかもしれない。あるいは直接的に、子供との対比においてみずからの大人としての立場を否応なしに実感させられる場面は多い。

 そのラインが人によって異なるのも、 「大人な行為」 の一面だろう。たとえば僕は、ひとりで電車に乗った中学2年生のときに 「大人に近づいた感」 を得たけれど、これに対して 「そんなことで?」 という感想を抱く人もきっといる。また僕は、浪人生のときに友人とマクドナルドに入ったときに 「大人になったなあ」 と思ったけれど、これを鼻で笑う人は少なくないだろう。マクドナルドが身近にある環境じゃなかったんだもん仕方ないじゃないか。

 「大人な行為」 を積み重ねて、 「大人に近づいた感」 をいくつも経由して、 「大人になったなあ」 と何度もため息ついて、やがてまがう方なき大人になる。大人になった自分を意識しなくなり、 「大人な行為」 にいちいち感慨なんて抱かなくなる。

 今回、カーペットを買うという行為により、久しぶりにその感慨を得た。一連の引っ越しの手続きそれぞれも、そこはかとなく大人な香りがした。僕はカーペットを買うことができた。1万といくらかのお金を払って。

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