070226 背後に祖父江慎 [日常]

 土曜日の午後。青山通りを散策し、ふと立ち寄った書店で、

 ……と書き出してみて、 「なんてオシャレっぽい書き出しなんだ」 と思いました。ので、もう1回書きます。

 土曜日の午後。青山通りを散策し、ふと立ち寄った書店で、 「森達也×斎藤美奈子トークショー」 というイベント告知の掲示を発見しました。両氏の新刊発売を記念してのイベントのようです。開演は10数分後。両氏の著作を少なからず読んでいた僕は 「おっ、魅力的」 と思い、すぐさま受付に向かいました。

 「あいにく予約で満席でございますので、キャンセル待ちの列にお並びいただけますでしょうか」

 との受付スタッフの指示にうながされて列を見やると、すでに10名くらいが並んでいます。過去にいくつかのイベントに関わった経験から、 「ドタキャンは1割を想定しておけ」 という教訓を得ていた僕は、 「微妙なラインかもな」 と思いながらも列の最後尾につきました (会場定員は120名) 。

 待つこと10分。
 「お待たせしました。キャンセル待ちの皆様、受付までお越しください」
 「やほう」
 料金500円を支払い、入場します。予定外のトークショー参加となりました。言い替えれば、土曜の午後にとくに予定もないヒマな人です。

 場内、座席の選択の余地はほとんどなく、僕は最後列の片隅に着席しました。さして広くない会場なので、最後列だからとて演者の顔が識別できないほどではありません。運よく視界も開けており、 「おおう、森氏に斎藤氏だ。すげーすげー」 と、ミーハーな高揚感に包まれながら聴講しました。

 さてトークショー自体、両氏の思考の背景をうかがい知ることができた興味深いものだったのですが、僕にとってのハイライトは開演2時間を経過した最後の最後に訪れました。森氏がこう言いました。

 「 (僕らの新刊の) 装丁をしてくれた祖父江さん、いらっしゃってるのかな?」
 「はーい」 (立ち上がる音)

 僕の真後ろに、エディトリアル・デザイナーの祖父江慎 (そぶえ・しん) 氏がいました。

 入場したときには場内が暗く識別できなかったのですが、客席の最後列のさらに後ろに関係者席があり、僕は祖父江氏のまん前に着席していたのでした。一昨年、銀座で開催された 「祖父江慎+cozfish展」 に大興奮した身ですから、 「ぬおうっ?!」 と声に出そうなくらいに驚きました (実際、声、ちょっと漏れた) 。ちなみに氏が装丁を手がけた作品としては、 『伝染るんです。』 (吉田戦車) や 『神のちから』 (さくらももこ) 、 『どすこい (仮) 』 (京極夏彦) などがあります。

 マニアックな感動であることは承知していますが、 「真後ろに祖父江慎氏が2時間」 という稀有な経験ができたのでありました。飛び込みでイベント参加してみるものです。

 余談。閉演後、明るくなった場内で2列ほど前に座っている観客の横顔に見覚えがある気がしたのでじろじろ見つめていたら、前の会社で3ヵ月くらい同僚だった人だと判明しました。そういえば森達也は、まさにその彼から薦められたのでした。東京も狭いな。

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