070726 目標の墓標 [随想]
目標設定って難しい。社会人になったいま、こう感じる機会が多くあります。学生時代ならば、たとえば100点満点のテストで80点をめざすとか、部活動の県大会で初戦突破をめざすとか、身の丈に即したわかりやすい目標が身近にあったものです。うん、部活動の経験ないけど言ってみた。
仕事のうえでは、 「PC入力処理速度を上げる」 「営業成績を上げる」 「売上高を上げる」 などと、職種や役職に応じた目標を設定しうるでしょうか。僕だったら 「原稿の締め切りを守る」 とか。ただ、これらはあくまでも 「仕事上の目標」 であって、 「自分の目標」 とピタリ重なるわけではない (重なる人もいると思いますが) 。 「人生の目標」 とまで言ってしまうと大きくなりすぎてボヤけるんだけど、もうちょっとこう、手ごろな目標が転がってないものか。
そこで僕が期待を寄せたのが、5月から通いはじめたフィットネスクラブ。
小中高と、体育の授業は見学か欠席で逃げ続けてきたこの僕が、なんとフィットネスクラブ。不似合いもはなはだしいですが、この際それは言いっこなしで。30代に突入するにあたって、どこか期するところあった模様です。
三日坊主を回避し、意欲をもって通い続けるためには、何かしら具体的な目標を設定したほうがよろしかろうということで、初回のオリエンテーションの時間に担当トレーナーに相談してみました。
フィットネスクラブで設定される目標としてまず思いつくのが体重減、すなわちダイエット。どどーんと 「めざせ10kg減!」 とかだったら燃えるというものですが、いかがでしょうか、トレーナーさん。以下、トレーナー (T) と僕 (R) の会話をダイジェストでお送りします。
T:目標体重は、現状マイナス3kgですね。
R:え? 3kgでいいんすか?
T:標準体重から言えば、そうです。
R:もうちょっと上をめざしてみませんか?
T:体重は 「落とす」 んですから、上じゃなくて下ですね。
R:じゃ、下をめざしましょう。
T:いえ、まずは3kgからが妥当だと思います。
R:あり。
T: 「たかが3kg」 と甘く見てはいけませんよ。
R:は、はい。
3kg。目標設定としては中途半端です。こりゃいかん、もっと達成困難に思われる目標がないと、僕のことだからきっと途中で飽きる! ということで、次に体組成の数値に着目してみました。
R:体脂肪率はどうでしょう?
T:適正値の範囲内ですから、問題ないです。
R:ヒトケタをめざしてみませんか?
T:Ranaさんはアスリートではないですから。
R:イチローとか高橋尚子とか。
T:Ranaさんはイチローでも高橋尚子でもありません。
R:はう。
T:それに、低すぎる体脂肪率も一般的に身体に毒です。
R:ふぬう。
体脂肪率の減少も目標にはなりえないみたい。つらいトレーニングに通い続けるだけのモチベーションを生む、明確な目標がほしいのに。僕はなおも食らいつきました。
R:そうそう。
T:はい?
R:僕は頭がデカくてですね。
T:はあ。
R:清原和博と同じくらいの頭のサイズなんです。
T:はあ。
R:そのわりに体躯が小さく、バランスがすこぶる悪いのが悩みの種です。
T:はあ。
R:トレーニングで、八頭身になれませんかね。
T:ムリです。
R:ぎゃふん。
脱線承知のお茶目な提案も、容赦なく却下されてしまいました。
T:あっ、Ranaさん。目標ならあります。
R:まじっすか?
T:心肺能力を含めた体力測定の結果ですが。
R:はい。
T:6段階中、下から2番目です。
R:あうち。
T:このレベルアップをめざしましょう。
R:はひ。
目標ができました。
「人並の体力をつける」
書いてて情けない。
しかも入会早々、仕事が繁忙期に突入して残業続き。6月なんて3回しか通えませんでした。いまだ3kg減すらも達成できてない。 「残業を乗り切れる体力がほしいのに、体力をつけるためのフィットネスクラブに通う時間がない」 ――このジレンマに、最近は悩まされています。目標設定って難しい。
- by Rana
- at 070726 23:49
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