080222 名前ふたたび [随想]

 川上未映子さんに、 「スキのないお名前ですねえ」 と言われたことがあります (イベントで、ほんのわずか、言葉を交わす機会があったので) 。おお、端的に言い表してくださる。

 自分の名前に対しては、なんちゅうか、どうにも面映ゆい漢字が使われているため 「名は体を表す」 べくあろうとするとちとシンドイ、重圧を与えうる名前であることよ、という思いがあります。はじけられないというか裏切れないというか。

 もちろん親として、子の名前に前向きな意味を含ませようとするのは道理なのですが、もうちょっとひねってくれてもよかったんじゃないか父ちゃん母ちゃん。抽象度の高い漢字を組み合わせて意味を内に秘めるとか。僕の名前に使われているのは形容詞としての意味が直球で伝わってしまう漢字だもんで、電話口で表記を説明する場面など、くすぐったくなるんだ。

 「スキのないお名前」 と芥川賞作家 (おめでとうございます) から指摘されたことにより、今後はいっそうスキなくふるまっていかなきゃならなくなってしまったような。川上さんは活動の過程で 「三枝子」 から「未映子」 へと名前を変えましたが、きっと所作ふるまいや生まれる表現も、幾分変わったことだろうと思うのです。名前が生き方を縛る、こともある。

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