020531 「ファンタジスタ」の意味を知ったのは昨日です。
世界に取り残されています。
と、大仰な書き出しになってしまいましたがこれは決して誇張ではありません。W杯が、始まってしまうのです、W杯が。
サッカー。
僕はとんとわかりません。W杯がいかに大層な大会であるか、さんざ報道されていますからさすがに頭ではわかっているのですが、気分的にはちっとも盛り上がりません。川平慈英がハイになればなるほど僕はローになる、そんな感じです。いかにサッカーファンなみなさまに謗られようとも、こればかりは仕方がありません。8年前も4年前も、周囲の友人たちの興奮をよそに僕は平静を保っていましたし、いつぞやの日本―中国戦では張り切って中国を応援してました。後者は単にひねくれてるだけですが。
そもそも僕はサッカーが苦手です。体育でサッカーをしなければならないシーズンはもう憂鬱で、試合中は最後衛をテクテク歩いて前線のボールの奪い合いを眺めながら時間をやり過ごしていました。「たまにはやる気を示してみるか」と血迷ってオーバーラップしてボールに絡み、おぼつかない足取りでドリブルしてたらゴール前でコケて、以来「サッカーには足を出すもんじゃない」という意識がすっかり固まってしまいました。だからプロの試合を観ていても当時の思い出と結びついてしまっていい気分にはなれないのです。自分がプレイする様が想像もつかないからなかなか感情が移入されない、というのもあります。
しかしながら今の世はサッカー一色。芸能人でちょっとサッカーが語れればテレビに出られるらしく、彼らが「W杯はエライんだゼ」「○○って選手のプレイはスゴイんだゼ」と言えば言うほどうさんくさく聞こえてしまいます。新宿・スタジオアルタのアルタビジョンは、「W杯の試合中継はいたしません。ご了承ください」との告知を流しています。過去、大リーガー・野茂のデビュー戦等を中継してきたアルタも、W杯には畏怖の念を抱いているようです。もし放映したらば、ただでさえ立錐の余地無い東新宿が、輪をかけてエライことになっちまうのは目に見えていますから、懸命な判断と言えるでしょう。タモリ。
そんなご時世に、サッカー疎し、を標榜せざるを得ないことには少しの寂しさがあります。かといって今さら、にわかサッカーファンになってしたり顔で語り始めるのもどうなんでしょう。プロ野球チームが優勝したとたんに「昔っからファンでした」と言って露出してくる輩みたくなってしまいます。ですから僕はこれからの一ヶ月間も普段どおりに、サッカーとは距離を置きながら生活してゆくことにします。まかりまちがって日本が決勝トーナメントに進出しようとも、浮かれるもんか盛り上がるもんか。世界からトラック半周遅れているどころか、違う競技場で走っている僕に光を。そして僕同様、世界の浮かれっぷりについていけてない人募集。この指とまれ。
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